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三木清 人生論ノート2

2009年10月14日

三木清 人生論ノート1
 #三木清 人生論ノート3

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「生命とは虚無を掻き集める力である。

 虚無を掻き集めて作られたものは虚無ではない。」

 

 

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「現代の混乱といわれるものにおいて、あらゆるものが混合しつつある。

 対立するものが総合されてゆくというよりもむしろ

 対立するものが混合されていくいうのが実際に近い。

 この混合から新しい形が出てくるであろう。」

 

 

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「形の形成は総合の弁証法であるよりも混合の弁証法である。

 私の言う構想力の論理は混合の弁証法として特徴づけられねばならぬであろう。

 混合は不定なものの結合であり、

 その不定なものの不定性の根拠は虚無の存在である。

 あらゆるものは虚無においてあり、

 かつそれぞれ特殊的に虚無を抱いているところから混合が考えられる。

 虚無は一般的な存在を有するのみでなく、それぞれにおいて特殊的な存在を有する。」

 

 

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「混合の弁証法は虚無からの形成でなければならぬ。

 カオスからコスモスへの生成を説いた古代人の哲学には深い真理が含まれている。

 重要なのはその意味をどこまでも主体的に把握することである。」

 

 

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「感情は主観的で知性は客観的であるという普通の見解には誤謬がある。

 むしろその逆がいっそう真理に近い。

 感情は多くの場合客観的なもの、社会化されたものであり、

 知性こそ主観的なもの、人格的なものである。

 真に主観的な感情は知性的である。

 孤独は感情でなく知性に属するのでなければならぬ。」

 

 

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「真理と客観性、従って非人格性とを同一視する哲学的見解ほど有害なものはない。

 かような見解は真理の内面性ではなく、また特にその表現性を理解しないのである。」

 

 

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「嫉妬は他を個性として認めること、自分を個性として理解することを知らない。

 一般的なものに関して人は嫉妬するのである。

 これに反して愛の対象となるのは一般的なものでなくて特殊的なもの、個性的なものである。」

 

 

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「もし無邪気な心というものを定義しようとするなら、

 嫉妬的でない心というのが何よりも適当であろう。」

 

 

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「嫉妬心をなくすために、自信を持てと言われる。

 だが自信はいかにして生ずるのであるか。

 自分で物を作ることによって。嫉妬からは何物も得られない。

 人間は物を作ることによって自己を作り、かくて個性になる。

 個性的な人間ほど嫉妬的でない。

 個性を離れて幸福が存在しないことはこの事実からも理解されるであろう。」

 

 

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「成功と幸福とを、不成功と不幸とを同一視するようになって以来、

 人間は真の幸福が何であるかを理解し得なくなった。

 自分の不幸を不成功として考えている人間こそ、まことに憐れむべきである。」

 

 

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「他人の幸福を嫉妬する者は、幸福を成功と同じに見ている場合が多い。

 幸福は各人のもの、人格的な、性質的なものであるが、

 成功は一般的なもの、量的に考えられ得るものである。

 だから成功は、その本性上、他人の嫉妬を伴いやすい。」

 

 

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「streber―――

 このドイツ語でもっとも適切に表される種類の成功主義者こそ、俗物中の俗物である。

 他の種類の俗物は時として気まぐれに俗物であることをやめる。

 しかるにこの努力家型の成功主義者は、決して軌道を外すことがないゆえに、

 それだけ俗物として完全である。」

 

 

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「近代的な冒険心と、合理主義と、オプティミズム(楽観主義)と、

 進歩の観念との混合から生まれた最高のものは企業家精神である。

 古代の人間理想が賢者であり、中世のそれが聖者であったように、

 近代のそれは企業家であると言い得るであろう。

 少なくともそのように考えられるべき多くの理由がある。

 しかるにそれが一般にはそのように純粋に把握されなかったのは近代の拝金主義の結果である。」

 

 

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「私は今ニーチェのモラルの根本が成功主義に対する極端な反感にあったことを知るのである。」

 

 

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「瞑想はつねに不意の客である。

 私はそれを招くのではなく、また招くことも出来ない。

 しかしそれの来るときにはあらゆるものにも拘わらず来るのである。

 「これから瞑想しよう」などということはおよそ愚にもつかぬことだ。

 私のなし得ることはせいぜいこの不意の客に対してつねに準備をしておくことである。」

 

 

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「思索は下から昇ってゆくものであるとすれば、

 瞑想は上から降りてくるものである。」

 

 

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「瞑想には条件がない。

 条件がないということがそれを天与のものと思わせる根本的な理由である。」

 

 

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「思索と瞑想との差異は、

 ひとは思索のただ中においてさえ瞑想に陥ることがあるという事実によって示されている。」

 

 

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「全ての瞑想は甘美である。この故に人は瞑想を欲するのであり、

 その限り全ての人間はミスティシズムに対する嗜好を持っている。

 けれども瞑想は本来我々の意欲に依存するものではない。」

 

 

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「瞑想を生かしうるものは思索の厳しさである。

 不意の訪問者である瞑想に対する準備というのは思索の方法的訓練を具えていることである。」

 

 

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「瞑想のない思想家は存在しない。

 瞑想は彼にヴィジョンを与えるものであり、

 ヴィジョンを持たぬいかなる真の思想も存在しないからである。

 真に創造的な思想家はつねにイメージをふまえて厳しい思索に集中しているものである。」

 

 

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